フランス修業で変わった料理に対する想い。
広島県が主催している西洋料理のコンテスト「ひろしまシェフ・コンクール」に応募し、成績優秀者3名に与えられる副賞で、本場フランスの現地レストランで2016年の9月から1年間修業をしてきました。日本では、料理人というと、休みも少なくてキツいというイメージもありますが、向こうは全然違いました。職業としての地位も高く、尊敬されているシェフも多い。かなりカルチャーショックを受けました。現地で3店舗目に研修に行ったお店は、ミシュランの三ツ星。まさにトップレベルのお店でした。人口200人くらいの小さな町の、しかも山の上にあるお店。それにもかかわらず、毎日100人くらいのお客様が来店していました。食事だけで3万円もするお店です。日本では考えられないことだと思います。技術や知識も遥かに進んでいて、シェフの人柄も明るい。1年間の修業でしたが、本当に数え切れないくらいたくさんのことを学びました。フランスに行かせて良かったと思ってもらえるように、このレストランを引っ張っていきたいと思っています。
ここ福山で、名店の味をつくりたい。
これから、ロジェとクレールの料理長を担当します。今は少しメニューが複雑な気がしているので、もっとシンプルにしたいと考えています。料理の数を増やして広く浅くするのではなく、もっと絞ってコストパフォーマンスを高めたい。基本は、素材、味付け、火入れがすべて、そこに集中できるような体制をつくっていきたいです。福山は田舎ですが、東京や大阪の有名店に負けたくありません。そのためには、まず自分が良いと思うものを信じることが大切です。何よりもお客様に喜んでいただくことが一番ですので、気持ちを込めてつくること。常に大切な人に食べてもらうつもりでつくる。その心がけ一つで、料理のクオリティは変わってきます。味付けも、盛り付けも、細かい部分にこそ気を遣って、全員で丁寧な仕事を心がけていきます。ここの料理は美味しい。このレストランに来れば間違いなく満足できる。渾身の一品とともに、そんな期待感や安心感も提供し続けていきたいです。